【北海道平取町】沙流川歴史館公開フォーラム「先住民族の環境知識」1/2

【北海道平取町】沙流川歴史館公開フォーラム「先住民族の環境知識」 Museum

沙流川歴史館での国立台湾史前文化博物館 特別企画展 について

北海道平取町びらとりちょう二風谷にぶたににある沙流川さるがわ歴史館にて行われた、『先住民族の環境知識(自然環境から得られる知識)』についての公開フォーラムに行ってきました。

沙流川さるがわ歴史館では台湾史前文化博物館(以後、史前博物館と記載)の特別企画展が開催されており、関連イベントとして行われた史前博物館の副研究員、張至善さんの展示解説に参加してきました。

張さんの台湾原住民プユニ族についての解説はとても興味深いものでした。

【北海道平取町】沙流川歴史館公開フォーラム「先住民族の環境知識」2/2
北海道沙流川歴史館にて行われた、公開フォーラムに参加してきました。アイヌの狩人のお話が聞けました。

台湾原住民プユニ族について

プユニ族は、女性だけで主食であるアワを栽培、畑を耕し刈り取りまでを行います。

その工程は自生する植物のサイクルを観察しながら決められます。例えばデイゴの花が咲き誇る頃に除草作業、月桃の花が咲く頃に鳥を追い払うなど、自然の流れと共に収穫作業までの一連の作業をするのです。

因みに女性は未婚、既婚、年齢などによって身につける衣装が異なるとのこと。日本人女性の着物の袖の長さが婚姻歴によって違ったりする(振り袖を着るのは未婚など。最近は好きなものを着る着方も有ります。)のと似ています。

対して男性は、少年になると家族から離れて同性だけで集団生活をし、規律のある中で成人していきます。

始めは少年集会所、そして18歳になると青年集会所へと変わり、結婚するまで男性だけのグループで生活しながら、自然の素材だけで建築物(集会所など)を建てる技術、魚を取る漁網の知識など民族特有の言語や文化が、厳しい規律生活の中で伝承されるとのことでした。

中でも衝撃的だったのが、幼い頃から子猿を育て、成長した時に自らその猿を殺めることで勇気を培う儀式があるというお話でした。

私達からすると一見残酷な話ですが、自然と共に生きる彼らには必要不可欠な儀式であり、私達が簡単に口にする「自然と共に生きる」ということは実はそれくらい過酷なことなのかもしれません。

と、同時にアイヌ民族も子熊を飼って大きくなると殺してそれを食する、イオマンテという儀式があることを思い出しました。

先住民族の、植物や森に住む生き物たちとの関わり方は、遠く離れた地域でも若干かたちは違いますが、共通する部分が多いと感じました。

プユニ族と史前博物館との関わりについて

プユニ族の文化は史前博物館の敷地内に彼らの生活圏があることで知ることができた、という張さんのお話でした。

プユニ族との協力関係は10年以上にもなるとのこと、ただし男性の文化が見えやすく分かりやすい反面、女性の文化に関しては、まだわからないことが多い、との言葉には何だか考えさせられました。

女性から女性へ伝えられること、それは決して植物サイクルの話だけではないはずです。

プユニ族だけでなく台湾原住民の生活では、プラスチックを使わず、大量の水を使わず、畑を耕すときも肥料を使いません。災害も多い地域ですが、常にそのような自然と共にある生活をしています。

このような暮らし、原住民の環境知識を知り学ぶことが、これからの私達の生活にはとても重要なことだという張さんの言葉には深く共感しました。機会があれば是非、国立台湾史前文化博物館を訪れてみたくなりました。

【北海道平取町】沙流川歴史館公開フォーラム「先住民族の環境知識」2/2
北海道沙流川歴史館にて行われた、公開フォーラムに参加してきました。アイヌの狩人のお話が聞けました。

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