【札幌地下500m美術館】500メーターズプロジェクトと渡辺行男個展

Museum

札幌大通地下ギャラリー「500m美術館」で2024年1月27日から6月26日まで開催されていた500メーターズプロジェクトと、同じく2024年4月27日から6月26日まで開催されていた渡辺行男の個展。

友人から「2種類の良い感じの展示をしている」とのおすすめ情報があり行ってきました。

500m美術館は札幌の地下鉄東西線、大通駅とバスセンター駅を結ぶコンコースにあり様々なアーティストが作品を展示しています。

今回は2種類の展示ということでしたが、全く異なる作風の展示だったものの自然の生命力にあふれ、季節が巡る時の気持ちを感じることができた展示でした。

500m美術館公式サイトはこちらへ

展覧会の展示概要

西から東へと続く地下コンコースに500mにわたり続く2種類の展示。

奥行きのある直線の導線になっていて自然な流れでみることができました。

通路の壁面を使った展示は迫力もあり、通常の屋内展示に比べてより没入感があったように感じます。

渡辺行男さんのオオイタドリを使った個展「資源カメラ」

豊平川の河川敷にも生い茂っているオオイタドリ。

渡辺さんは道内に繁茂しているオオイタドリを使って立体作品を制作している作家さん。

オオイタドリは繁殖力が強い植物で、あちこちに生えていて一掃されてもあっという間に復活する強さのある植物。

小さめの作品から徐々に大きな作品へと移り変わっていく様は、それこそオオイタドリが生い茂っていく時の静かで強い不気味さを感じます。

色々教えてくれる500mじーさん

展示の合間には「500m(メートル)じーさんのアート談義」と称したキャプションがついていて作品の解説が丁寧にしてあります。

ふりがなが振ってあり、じーさんが語りかけている口調なので子供でも親しみやすい展示でした。

そして常にその横に立ち続ける足のついたカメラ。

小さなのぞき穴からこちらの人間を観ているのは自然なのでしょうか…

人間の行いを自然がじっと観ているようでなんだか怖い。

大きくて少し不気味。森林虫。

森林虫という作品には、自然の中でうごめく強大な力があるように感じられます。

展示の最後には廃品として捨てられる運命のボーリングのピンで作成された作品。

表を覆っていた白い皮の部分が花になっていました。

オオイタドリもボーリングのピンもどちらも不要とされていて人が見向きもしない存在です。

そのような存在をアートとして復活させる。

人間に必要なものって一体なんなのでしょう。

地下という場所、茶色の作品という取り合わせの渡辺さんの作品は地下の中で蠢く生き物みたいでした。

500メーターズプロジェクト  Walk in The Forest 森を歩く

色がとても綺麗なのと、みんなで作成した雰囲気が伝わってきて楽しい

渡辺行男さんの個展に続いて現れるのが白い壁面。

直前まで続いた、ちょっと不気味な土を感じる生き物たちの世界観から、静かで冷たい雪に覆われた冬の森の世界が始まります。

凍りつくあの寒い2月。

思わず身震いしそうな冷たさから季節が巡る様子が表現されていきます。

冬から春、春から夏にかけての賑やかさになぜか顔もほころんできそう。

こちらはワークショップによる作品。

作家の田中マリナさんと500m美術館のボランティアとして活動する500メーターズやワークショップの参加者が一緒に作成したもの。

色使いがとても綺麗で暗い地下のコンコースがとても明るい雰囲気。

思わず目を奪われてしまいます。

行き交う人々も壁面のキャンバスに目を向けながら通り過ぎていました。

こちらは札幌国際芸術祭との連携企画でした。

展覧会の会期

渡辺行夫 個展「資源カメラ」の会期

2024年4月27日(土)〜6月26日(水)

※500m美術館 「資源カメラ」展覧会情報はこちら

Walk in The Forest「森を歩く」の会期

2024年1月27日(土)〜6月26日(水)

※500m美術館 「森を歩く」展覧会情報はこちら

アクセス

〒060-0051

札幌市中央区 大通西1丁目~大通東2丁目

TEL:011‐211‐2261

まとめ

資源カメラの向こうから…

普段の生活では雑草扱いのオオイタドリを使い、自然の生命力と人間のあり方を対峙させている渡辺さんの「資源カメラ」

同じ自然を季節の美しさでリズミカルに表現している500メーターズプロジェクトの「森を歩く」

同時期に開催されていた対象的な2つの展示でしたが、どちらも自然との共生を考えずにはいられない展示でした。

「森を歩く」は展示が終わればなくなってしまうのがとても残念。

そして帰り道。

道端の鬱蒼と生い茂ったオオイタドリの間から資源カメラのような視線を感じたのは気のせいか…。

…なんだか怖かった。

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