2024年9月7日(土)から9月29日(日)までの約1ヶ月、札幌芸術の森美術館で開催された
国立西洋美術館 内藤コレクション
【西洋の写本】
いとも優雅なる中世の小宇宙
文字の一つ一つが細かいのは当然のことながら、それらを装飾する細密画がとても美しい西洋の写本。
この写本の魅力にすっかりはまった内藤裕史氏と、彼の友人であった長沼氏(株式会社きのとや取締役会長)の支援によって集められた写本のコレクションは国立西洋美術館に寄贈されます。
これが今回の展示、国内美術館最大級の写本コレクション『内藤コレクション』なのです。
【内藤コレクション 西洋の写本】 展覧会の展示概要
会場は写本の種類によって次の9つの『章』にわけて展示されていました。
- 第1章 詩編集
- 第2章 聖書
- 第3章 聖務日課のための写本
- 第4章 聖職者たちが用いたその他の写本
- 第5章 時祷書
- 第6章 ミサのための写本
- 第7章 聖俗写本
- 第8章 暦
- 第9章 教会法令集・宣誓の書
写本に書かれた細かい絵を拡大して、見どころを解説してくれたパネルがありがたい。
文字の部分を書く人と細密画を描く人とに別れた分業制で作成された写本。
細かな文字の行間や余白部分に描かれるのは、美しい植物だったり物語に登場する人物たちの様子だったり様々です。
本を書き写す、ということから大型のものを予想していましたが、実際は日々の信仰に携えて読むものが多く、手の平サイズの写本もあり意外に小さく驚きました。
とにかく細かいので、顔を近づけて目を凝らして見ている方が散見されます。
文字の華麗さはもちろんのこと、漫画のように細かい絵が描き込まれている様は圧巻。
日本の写経が精神統一するための修行という感じなのに対し、写本の場合は読みやすく飽きないようにするために描いたのでは?と思えるくらい、華やかで面白味があるように感じました。
一際目を引いたのが、コレクターの内藤氏が手元に置いたという写本。
とりわけユニークで面白味があり人間臭さが感じられる作品で、教科書に描く落書きを思わせるような一品でした。
展示室の最後には、写本の技術を再現する映像の展示があります。
美しい文字が描かれていく様子に目が離せなくなり、2回観ても全然飽きず。
【内藤コレクション 西洋の写本】展覧会の混雑状況
日曜日の午後一で行きました。
さほど混んではおらず、ひとつひとつの作品をじっくり鑑賞することができました。
会場内が混んでいてはじっくり見ることができない作品が多いため、人がまばらなのはとても良かったです。
【内藤コレクション 西洋の写本】展覧会の所要時間
1時間ほどでした。
とにかく小さく細かいので、途中から集中力が途切れ少し足早になってしまったかも。
じっくり時間をかけて鑑賞する方が多いように感じました。
【内藤コレクション 西洋の写本】展覧会の観覧料
一般1,400(1,100)円
高校・大学生800(600)円
小・中学生400(300)円
※ ( )内は前売または20名以上の団体料金
【内藤コレクション 西洋の写本】展覧会の会期・開館時間
会 期:2024年9月7日(土) – 9月29日(日)
時 間:午前9時45分 – 午後5時
※(入館は閉館の30分前まで)
【内藤コレクション 西洋の写本】アクセス&駐車場情報
〒005-0864 北海道札幌市南区芸術の森2丁目75
℡:011‐591‐0090
駐車場 561台 収容可能
駐車料金 1回/500円
※詳しくは芸術の森アクセスサイトへ
【内藤コレクション 西洋の写本】まとめ
中世ヨーロッパで印刷技術が無い時代に作られた写本ですが、想像以上に手間暇をかけて作られたものでした。
小さな写本の中には美しい言葉とそれらを彩る華麗な細密画の世界が閉じ込められています。
展示のサブタイトルに「小宇宙」とついた【西洋の写本】展でしたが、その時代に生きた人々の精神を垣間見ることができるコレクション展でした。
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