【札幌芸術の森美術館】遠藤彰子展 生生流転 巨大画を体感してくる

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札幌芸術の森美術館で2024年4月6日から6月16日まで開催されている安藤彰子展「生生流転」。

巨大なキャンバスに描かれる様々なモチーフ。

隅から隅まで目を凝らせば、色々な世界が繰り広げられている不思議な世界観。

大学在学時には指導してもらったこともあり、札幌芸術の森美術館での展覧会は前々から注目していました。

遠藤彰子さんは作品の大きさが特色で、とにかく大きい。

その「大きさ」を実際に体感したい!と思っていましたが、想像以上に迫力のある作品群で行ってよかった!といえる展覧会でした。

金箔を貼った作品も一点あり。同時期に開催されていた琳派?っぽい
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遠藤彰子展 生生流転 の展示概要について

遠藤彰子さんは1947年生まれで神奈川県在住、現在も制作活動を続けていらっしゃいます。

札幌芸術の森美術館での今回の展覧会は制作初期のものから現在に至るまでの50年の画業を約80展の作品と共に紹介。

構成としては「楽園」シリーズ、「街」シリーズ、「大作」シリーズという大きく3つの内容でした。

展覧会の公式サイトはこちらへ

遠藤彰子展 生生流転 「楽園」シリーズ

「楽園」シリーズは遠藤彰子さんの初期の作品群。

後の作品を予感させる大きめの作品です。

ドールハウスを覗き見するような楽しいおもちゃ箱のような感じがしました。

遠藤彰子展 生生流転 「街」シリーズ

「街」シリーズは遠藤彰子さんが出産してからの作品。

お子さんが生後8ヶ月で生死に関わる病気をしたことが作風に影響を与えたようです。

いつ何がどうなるかわからない、という不確定さの中の日常。

そしてそれまでのどちらかというと作家の内面に向いていたものが、作家と作家の周囲との世界へと広がり始めたように感じました。

大きな画面に描かれる多くの人物の顔には青味がかった影があり、どちらかというと不安な予感がただよいます。

その中で目を引いた絵が上の作品。

光が指す方向へ向き、拳を握る少女(?)は体を固くしているような雰囲気。

少し前に屈んだその背中からは緊張が感じられ、表情はわからないものの何か祈っているのようにも見えます。

何が起きるかわからない不安を抱えつつも、新しい朝の光に希望を託しているのでしょうか…

その姿に今の不安定な状況に置かれている自分を重ねてしまいます。

どんな時にも希望を持ちたい、そんな思いがこの絵からは感じられました。

遠藤彰子展 生生流転 「大作」シリーズ

「楽園」と「街」というシリーズ=流れを受けて「大作」へと続きます。

今までの作品も十分大きかったのですが、「大作」シリーズになるとそれらが全て習作のように思えます。

縦横だけではなく手前から奥へ、奥から手前へと捻れた空間の中に多種多様な世界が描きこまれる壁画のような巨大なキャンバス。

繊細な筆致で描かれるエネルギッシュで大胆な構図は、観るものの視線をあちこちに彷徨わせます。

二次元のキャンバスを入口として異世界へ放り込まれるような感覚はこの作品、この大きさだからこそ感じられるもの。

これまでの作家自身の世界観が更に深いものとなっていることを感じさせるかのような、素晴らしい大作には静かな、それでいて深い迫力がありました。

会場内の他の作品

遠藤彰子展 生生流転 展覧会には絵画だけではなく立体作品や新聞の朝刊の挿絵、作品の制作過程の映像作品もありました。

遠藤さんは制作するときに、面相筆を使って描くそうです。

面相筆は筆の中でも最も細い筆で、その名の通り人物などの表情を描く際に使われるような繊細な表現に向いている筆。

そんな細い筆であんなにダイナミックな作品を制作するとは…

繊細かつダイナミックな表現は作品の構図やモチーフに拠るのはもちろんですが、こうした画材などにも現れているのだと思いました。

立体作品

どの作品も動きがとても面白くて見飽きません。

二次元での表現力が三次元で更に拡張されている感じ。

見る角度によっても全然違う表情。

会場内に数か所設置されていて、油彩画を観る合間にちょっと一息つけます。

どれも個性的で、そしてなんだか優しい気持ちになれる作品ばかり。

三匹は何を相談しているのでしょうか…今にも動き出しそう。

挿絵作品

朝日新聞の連載小説の挿絵はどれも可愛らしい。

油彩画に描かれたいろんな世界がここでも観ることができます。

私が特に気に入ったのは次の2つ。

映像作品

制作過程として

  • 海くれゆけばただ仄かなる  53秒
  • 海・星ふりしきる  1分12秒

の2作品の制作過程の映像が公開。※撮影不可

巨大な絵画の制作過程はぜひ観て欲しい。

【雪・星降りしきる】

遠藤彰子展 生生流転 混雑状況

会期半ばの土曜日の午後に行ってきました。

途切れることなく入場者はありましたが、多くはありません。

会場ではゆっくりじっくりと作品を鑑賞できました。

遠藤彰子展 生生流転 所要時間

巨大な作品が多く(1500号のものも!)、近づいたり離れてみたりをしながら鑑賞するため、結構時間がかかりました。

1時間は欲しいです。

遠藤彰子展 生生流転 観覧料

一般1,300(1,100 )円

高校・大学生大900(700)円

小・中学生600(500 )円  

*(  )内は前売、または20名以上の団体料金 

*65歳以上の方は当日料金1,100(団体1,000)円

※詳細は展覧会公式サイトへ

私は芸術の森野外美術館のフリーパス(1年間1,000円)で割引料金になりました!

遠藤彰子展 生生流転 会期&時間

会 期:2024年4月6日(土)~ 6月16日(日)

休館日:4/8(月)、4/15(月)、4/22(月) 

時 間:4月・5月:午前9時45分〜午後5時 

    6月:午前9時45分〜午後5時30分 

※入館は閉館の30分前まで

遠藤彰子展 生生流転 アクセス&駐車場情報

〒005-0864 北海道札幌市南区芸術の森2丁目75

℡:011‐591‐0090

駐車場 561台 収容可能

駐車料金 1回/500円

※詳しくは芸術の森アクセスサイトへ

まとめ

美大時代に油絵学科絵画コースだったので大きい絵を描くということがとても難しいということを知っていて、そして大きい絵こそ体感すべき、という気持ちから行ってきた札幌芸術の森美術館の遠藤彰子展生生流転

想像以上に絵の迫力があり、遠藤彰子さんの目を通した小さな世界から始まり、自分たちを取り巻く大きな世界を感じることができたような気がします。

遠藤さんの絵のモチーフには初期の「楽園」シリーズでは人、「街」シリーズでは建造物などがタイトルどおりに多くでてくるのですが、「大作」になってくると自然界に生きるいろいろな動物や植物、自然の様子がふんだんに取り込まれてきます。

それはまるで私達の生きる世界そのものを表現しているよう。

わたしたちの内部の世界を観ているのと同時に外側の世界へも意識が向けられ、それはまるで大きな空間の中の一部分としての自分の世界があるような不思議な感覚になります。

細部に詳細に描かれるモチーフは離れて観ると大きな一つのうねりになっている、そんな遠藤彰子展。

後半の作品になるほど絵画からのエネルギーがとても大きく感じられますが、点在する立体作品がちょうどよいアクセントになっていて、メリハリの効いた展示になっています。

あなたもぜひ足を運んで絵を見るだけではなく体感してみてくださいね。

※本文中の感想は個人的に筆者が感じた内容です。

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