【北海道大学総合博物館】岩石初級パラタクソノミスト講座が面白い!

【北海道大学総合博物館】岩石初級パラタクソノミスト講座が面白い! Museum

北大総合博物館の岩石初級パラタクソノミスト講座について

岩石初級パラタクソノミスト講座の第2回目が北海道大学総合博物館で行われました。

パラタクソノミストとは研究者が資料を分類する際の補助をする役割を担う人材につけた呼び方です。タクソノミーとは「分類」パラは「準」、つまり準分類学者=パラタクソノミストという意味です。

北海道大学総合博物館ではこのパラタクソノミストを各分野(昆虫、植物、化石、魚類など)で養成することにより、膨大な資料の分類を一般市民にも協力してもらい、市民はその活動に参加することによって、大学の研究に触れることができるという、双方にとってメリットのある活動となっています。

岩石初級パラタクソノミスト講座は第1回目の開催時に多くの応募者がいたため、急遽2回目の開催になったとのことでした。

竹下徹先生のお話しについて

講師は総合博物館の資料部研究員の竹下徹先生です。北大で教授として勤務されていた後に研究員になられたとのことで、岩石について学ぶ前に、理学とはどういう学問なのかというお話しが一番最初にありました。
先生曰く、理学とは事の本質を明らかにしようという学問であり、なぜならば岩石を知るということ、つまり地球の中を知るということは、地球はどうやって形成されたのか、宇宙の形成から考えていく、ということであるから、ということでした。

「事の本質を知る学問」が理学
小学生の「理科」が大学生になると「理学」になる、というふうにだけ思っていた私には目からウロコの言葉でした。

先生の授業は大変アカデミックなもので、元素記号や法則(フーリエの法則)、計算式が出てきたり。観察するだけではなく、それらの学問を駆使して岩石の本質に迫っていくというこの講座は、学生に戻り、今まで知らなかった理学の入り口に立ったようで、とても新鮮でした。

先生は終始にこやかで私達からの質問への解説はとてもわかり易く、ご自身でお持ちになられた岩石や鉱物を詳細に解説してくださいました。

高校時代に地学の授業があり、その時には地質なんて!あの硬くて動きそうもない輩の話なんて無理!と思い、初回から寝ていたことを懺悔しながら、竹下先生が高校の時に担当してくだされば…と心密かに思いました。
(遥か昔、何気に受けた適職テストで出た結果が地質学者で、それを確認した担当者と二人、結果を見て絶句した過去は水に流しましょう。)

それにしても地球が全部溶けた状態(溶融というらしい)から冷えて固まるまでの段階で多くの鉱物や岩石が出来てくるわけですが、石灰岩が二酸化炭素を内部に閉じ込めるという話(このことは二酸化炭素の抑制にも関係するらしく実験がすすんでいるとのこと)や、既存の鉱物が、形成された時とは異なる環境や条件下に置かれることで、新しい鉱物へと再結晶することを変成作用という話、変性作用には水=H₂Oの存在がとても重要で、水によって元素が動いて結合し岩石になるという話、マグマには水分が溶けやすいといった話は大変興味深く感じました。

講座を受けて石について考えたこと

人間も植物も地球上に存在する元素の組み合わせで成立しているとしたら、同様に元素で組成される石も「生物」と考えてよいのではないか…などと考えてみたりしている中で、ふと見つけた岩石パラタクソノミスト講座。

いろいろ難解な分類学上の知識は必要ですが、それよりも何よりも、ここでも重要なのは水であること。は地球上に存在する私達人間を含めた生物だけではなく、一見水とは無関係そうにみえる岩石にも必要不可欠なものだったのだ、という事に深く感動しました。

講座の終わりには、参加者の方が一言感想を述べられて締めくくられたのですが、石が好きな人が他にもいて嬉しい、というような事を数人の方がお話しされていました。
石…硬くて動かず一見微動だにしない存在ではありますが、一定の人には深く愛される存在ではあります。


今まで自然が好きで、主に植物や昆虫に目を向けることが多かったのですが、春の終わりに礼文島に行き、メノウ海岸で様々な「石」を拾ってその美しさを知ったばかりです。植物と同様に、土地によって全然異なる石が存在していることにも今さらですが気づき最近気になる存在となりました。

「石」は「生物」と思っても良いかもしれない、と私の中で再確認できた講座でした。

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